「自分が作ったシステム、誰が使ってるんだろう」
SIerで3年、5年と働いていると、ふとそんな疑問が浮かぶ瞬間がある。設計書を書いて、コードを書いて、テストして、納品する。技術的にはちゃんとした仕事をしているはずなのに、なぜか手応えがない。納品した後、そのシステムがどう使われて、どんな成果を生んでいるのか、まったく見えない。
正直に言うと、私もそうだった。
「このままSIerにいて大丈夫なのか」という漠然とした不安
SIerの仕事が嫌いだったわけではない。ただ、30歳を過ぎたあたりから「このままでいいのか」がずっと頭にあった。
周りを見ると、上のポジションに行くほどExcelとパワポの仕事が増えていく。技術で勝負したくてこの業界に入ったのに、気づけば調整役。しかも案件は数ヶ月〜1年で終わるから、「俺が作ったもの」と胸を張れるプロダクトがない。
転職サイトを眺めてみると「データエンジニア」という職種が目に入った。Snowflake、Databricks、dbt、Airflow……聞いたことはあるけど触ったことがないツールばかり。正直、自分にできるのか不安だった。
でも、もっと不安だったのは「5年後もこのまま同じ場所にいること」だった。
事業会社に転職して気づいた「SIerとの決定的な違い」
結論から言うと、私は大手飲料メーカーのデータエンジニアポジションに転職した。年収は約100万円上がった。でも、それより大きかったのは「仕事の意味が見えるようになったこと」だった。
事業会社では、自分が構築したデータ基盤を、マーケティング部門や経営企画が毎日使っている。「このダッシュボードのおかげで意思決定が早くなった」と直接言われる。SIer時代には一度も経験しなかったことだ。
もちろん、いいことばかりではない。SIerと事業会社の違いを正直にまとめると、こうなる。
| 比較軸 | SIer | 事業会社 |
|---|---|---|
| 技術の幅 | 案件ごとに異なる技術を広く薄く | 自社スタックを深く極める |
| やりがい | 納品で完結、その後が見えない | ユーザーの反応がダイレクト |
| 年収レンジ | 400〜650万(30代) | 500〜900万(同スキル帯) |
| 働き方 | 客先常駐・案件次第 | リモート可が多い |
| キャリア | マネジメント寄りになりがち | 技術スペシャリスト路線が残る |
| リスク | 案件切れ・待機の不安 | 社内政治・部署異動リスク |
年収だけで見ても、同じスキルセットなら事業会社の方が高い傾向にある。特にデータエンジニアは今どの業界でも人材不足だから、SIerでの「要件定義・設計・実装」の経験がそのまま武器になる。
「未経験のツールばかりで不安」は、実はそこまで問題じゃなかった
転職前に一番心配だったのが、Snowflakeやdbtといったモダンなデータスタックの経験がないことだった。
でも実際に転職してみると、SIerで鍛えた「要件を整理して設計に落とす力」と「SQLの基礎力」があれば、ツールのキャッチアップは思ったより早かった。Snowflakeの文法はほぼ標準SQLだし、dbtはSQLが書ければすぐに使える。
むしろ、事業会社が中途で求めているのは「特定ツールの経験」より「データ基盤を設計・運用した経験」だった。SIerでRDBの設計やETL処理を組んだことがあるなら、それは十分な実績になる。
ここを理解していなかった自分は、最初の転職活動で「Snowflake経験必須」の求人を避けてしまい、かなり遠回りをした。
転職エージェントを使って感じた「当たり外れ」
正直に書くと、転職活動では3つのエージェントを使った。
最初に登録した大手総合型エージェントは、紹介される求人がSIerからSIerへの横スライドばかりだった。「データエンジニアとして事業会社に行きたい」と言っても、担当者がデータエンジニアという職種をよく理解していなかった。
次に使ったIT特化型のエージェントでは、担当者自身がエンジニア出身で、話が早かった。「SIerでの経験をどう事業会社向けにアピールするか」を一緒に考えてくれたし、「Snowflake未経験でも受かる企業」をピンポイントで紹介してくれた。
結局、内定をもらった3社はすべてIT特化型エージェント経由だった。
ここで学んだのは、「どのエージェントを使うか」で転職先の選択肢が根本的に変わるということ。特にデータエンジニアのようなニッチな職種では、その領域に詳しいエージェントを選ぶことが最短ルートになる。
転職を迷っている人が持ちがちな「3つの不安」に答える
転職を考え始めると、だいたい同じところで足が止まる。過去の自分もそうだった。
「今の会社でもう少し経験を積んでからの方がいいのでは」——これは半分正解で半分間違い。経験は確かに大事だが、SIerでの経験年数と事業会社での市場価値は比例しない。むしろ35歳を超えると「マネジメント経験は?」と聞かれるようになり、技術職としての転職がどんどん難しくなる。
「年収が下がるかもしれない」——データエンジニアに関しては、現時点では逆。需要と供給のバランスが崩れていて、SIer時代より上がるケースの方が多い。私の周囲でも、年収が下がって転職した人はいない。
「転職して合わなかったらどうしよう」——この不安は消えない。でも、事業会社の面接では「カジュアル面談」からスタートするところが多い。いきなり選考ではなく、お互いの相性を確認する場がある。使わない手はない。
まとめ:動くなら「データエンジニアの需要があるうち」がベスト
データエンジニアの求人数はここ3年で急増している。Snowflake、Databricks、dbtを導入する企業が増え、「データ基盤を作れる人」の需要は当分なくならない。
ただし、この状況がいつまで続くかはわからない。AIの進化でツール側が進歩すれば、求められるスキルセットも変わるだろう。だからこそ「今、SIerでの経験が武器になるうちに」動くのが合理的だと思う。
まずはIT特化型の転職エージェントに登録して、自分の市場価値を確認するところから始めてみてほしい。職務経歴書の書き方がわからなければ、エージェントが一緒に作ってくれる。カジュアル面談だけでも、世界の見え方が変わるはずだ。
私がそうだったように。
※この記事にはアフィリエイトリンクが含まれています。筆者の体験に基づいていますが、転職は個人の状況により結果が異なります。
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