「書類が全然通らない…」
SIerからデータエンジニアへの転職活動で、最初にぶつかる壁がこれです。私も最初の2週間、書類通過率は30%以下でした。
原因はシンプル。SIerの職務経歴書をそのまま出していたからです。
SIerで「当たり前」に使う言葉は、事業会社の採用担当には馴染みがありません。「JP1でバッチ処理を運用」と書いても、データエンジニアを採用する人事には価値が伝わらないんです。
職務経歴書の書き方を変えただけで、書類通過率が70%以上に上がりました。この記事では、SIerの経験を「データエンジニアの言葉」に翻訳する具体的な方法を解説します。
なぜSIerの職務経歴書では通らないのか
理由は3つあります。
使っている言葉が違う。 SIerで「バッチ処理」と呼んでいるものは、データエンジニアの世界では「ETLパイプライン」です。同じスキルなのに、言葉が違うだけで「未経験」と判断されてしまいます。
プロジェクト記述が「作業」に見える。 SIerの職務経歴書でよくある書き方が「基本設計・詳細設計・製造・テストを担当」。これは何をやったかは書いてあるけれど、どんな価値を生んだかが書かれていません。
技術スタックの書き方が古い。 「Oracle Database 12c、JP1、Eclipse」と書かれた職務経歴書は、モダンなデータ基盤を構築したい企業には刺さりません。本質的なスキルは共通しているのに、見え方で損をしています。
Before / After で見る翻訳術
プロジェクト概要の書き方
Before(SIer的な書き方):
大手小売業向け基幹システムのリプレイス案件にて、Oracle Databaseの基本設計・詳細設計・開発・テストを担当。JP1によるバッチ処理の設計・開発・運用を実施。
After(データエンジニア的な書き方):
大手小売企業のデータ基盤刷新プロジェクトにおいて、データモデリング(スタースキーマ設計)からETLパイプラインの設計・構築、ワークフローオーケストレーションの設計・運用まで一貫して対応。日次バッチで約500万レコードを処理するパイプラインを設計・実装。
ポイント:
- 「基幹システム」→「データ基盤」に言い換え
- 「基本設計・詳細設計」→「データモデリング(スタースキーマ設計)」と具体化
- 「バッチ処理」→「ETLパイプライン」に翻訳
- 処理件数などの数字を追加
スキルセクションの書き方
Before:
- Oracle Database 12c(設計・開発・運用 5年)
- SQL(ストアドプロシージャ、パフォーマンスチューニング)
- JP1(バッチジョブ設計・運用)
- Excel VBA(データ集計ツール開発)
After:
- RDB設計・運用(5年):データモデリング、パフォーマンスチューニング、RBAC設計
- SQL(5年):複雑なJOIN、Window関数、CTE、集計クエリの設計・最適化
- ETLパイプライン設計・運用(3年):日次/月次バッチの設計、エラーハンドリング、リカバリ設計
- データ品質管理:整合性チェック、異常値検知の仕組み構築
- クラウドDWH:Snowflake(トライアルで学習中)
ポイント:
- 製品名ではなくスキルカテゴリで分類
- 「JP1」という製品名は外し、「ETLパイプライン設計・運用」という汎用スキルとして記載
- Snowflakeは「学習中」でもいいので記載する
- VBAは外す(データエンジニアには不要)
成果・実績の書き方
Before:
品質管理として、バグ件数0件でリリースを達成。
After:
データパイプラインの品質担保として、リリース前のデータ品質テストを設計・導入。NULLチェック、ユニーク制約、参照整合性の自動テストにより、本番障害の発生を0件に維持。
ポイント:
- 「バグ件数0件」→「データ品質テストを設計・導入」と主体的な取り組みとして記載
- 具体的にどんなテストをしたかを記載
翻訳に使える対応表
| SIerでの表現 | データエンジニア向けの表現 |
|---|---|
| 基本設計・詳細設計 | データモデリング、アーキテクチャ設計 |
| Oracle / SQL Server | RDB設計・運用(※製品名は補足に) |
| バッチ処理 | ETLパイプライン |
| ジョブスケジューラ(JP1等) | ワークフローオーケストレーション |
| 権限管理 | RBAC(ロールベースアクセス制御) |
| データ移行 | データインジェスチョン / データマイグレーション |
| 性能改善 | クエリパフォーマンスチューニング |
| 障害対応 | データインシデント対応、SLA管理 |
| 影響調査 | データリネージ分析 |
| テスト設計 | データ品質テスト設計 |
| ドキュメント整備 | データカタログ、技術ドキュメンテーション |
| 顧客折衝・要件定義 | ステークホルダーとの要件整理、データ要件定義 |
職務経歴書テンプレート
以下のテンプレートをベースにカスタマイズしてください。
【職務要約】
SIerにてRDBを中心としたデータ基盤の設計・構築・運用に[X]年間従事。
データモデリング、ETLパイプラインの設計・実装、RBACによるアクセス制御の設計を一貫して担当。
直近ではクラウドDWH(Snowflake)の技術キャッチアップを進めており、
データエンジニアとしてモダンデータスタックを活用した基盤構築に携わりたいと考えています。
【プロジェクト経歴】
■ [企業名/業界] データ基盤構築プロジェクト([期間])
[役割]: データモデリング〜ETLパイプライン設計・構築
[規模]: [チーム人数]名、[期間]
[担当]:
・[業務ドメイン]のデータモデリング(スタースキーマ設計、[テーブル数]テーブル)
・ETLパイプラインの設計・実装(日次[処理件数]レコード)
・RBACの設計・運用([ロール数]ロール、[ユーザー数]ユーザー)
・データ品質テストの設計・自動化
[成果]:
・パイプラインの処理時間を[X]%短縮
・データ品質テスト導入により本番障害を[X]件→0件に削減
【スキル】
・データモデリング(スタースキーマ、正規化設計):[X]年
・SQL(Window関数、CTE、パフォーマンスチューニング):[X]年
・ETLパイプライン設計・運用:[X]年
・RBAC設計・権限管理:[X]年
・クラウドDWH:Snowflake(学習中)
エージェントに添削してもらうのが最短ルート
自分で翻訳するのが難しければ、IT特化の転職エージェントに職務経歴書を添削してもらうのが一番早いです。
エージェントはデータエンジニアの求人を日常的に扱っているので、「この経験はこう書いた方が刺さります」という具体的なアドバイスがもらえます。
私自身、エージェントに添削してもらった後の書類通過率は30%から70%以上に上がりました。登録して職務経歴書を見てもらうだけなら無料なので、まずは相談してみることをおすすめします。
まとめ
SIerの職務経歴書がデータエンジニアの選考で通らない原因は、スキルが足りないのではなく「書き方」の問題です。
SIerの用語をデータエンジニアの言葉に翻訳するだけで、同じ経験が全く違う評価を受けます。この記事のBefore/Afterと翻訳表を使って、まずは職務経歴書を書き換えてみてください。
書類通過率が変わるだけで、転職活動のストレスは大幅に減ります。
▼ 関連記事
- SIerを辞めて「事業会社のデータエンジニア」に転職した話
- 事業会社のデータエンジニアの年収はいくら?SIerからの転職で100万上がった話
- Snowflake未経験でもデータエンジニアに転職できた理由
- データエンジニアが転職エージェントを3社使って気づいた「選び方の正解」
※この記事にはアフィリエイトリンクが含まれています。筆者が実際に利用したサービスのみ紹介しています。


コメント