この記事の結論
- データエンジニアの仕事は 「社内のデータを使える状態にすること」
- 業務は5領域:データ収集/変換/基盤構築/品質管理/権限管理
- 1日の業務は 開発40% / MTG20% / 運用15% / ガバナンス10% / 学習15%。SIer時代と比べて開発時間が大幅増
「データエンジニアって、具体的に何をしてるの?」
SIerで働いていた頃、データエンジニアの仕事内容がまったくイメージできませんでした。「データ基盤を作る」と言われても、毎日何をしているのかが見えなかった。
事業会社のデータエンジニアとして働き始めて2年。この記事では、データエンジニアの仕事内容を5領域に整理した上で、私の実際の1日のスケジュールを タイムテーブル付き で公開します。
データエンジニアの仕事内容とは
データエンジニアの仕事を一言でいうと、社内のデータを「使える状態」にすることです。散らばったデータを集めて、整理して、分析チームやビジネス部門が使えるようにする。これがデータエンジニアの本質的な役割です。
具体的には、以下の5つの業務が中心になります。
| 業務領域 | 具体的な内容 | 使用ツール例 |
|---|---|---|
| データ収集・連携 | 社内外のデータソースからデータを自動取得 | Fivetran, HVR, API連携 |
| データ変換・加工 | 分析しやすい形にデータを変換 | dbt, SQL, Python |
| データ基盤の設計・構築 | DWH・データレイクの設計と運用 | Snowflake, BigQuery |
| データ品質管理 | データの正確性・鮮度・整合性を担保 | dbt tests, Great Expectations |
| 権限管理・ガバナンス | 誰がどのデータにアクセスできるか管理 | Snowflake RBAC, データカタログ |
他のエンジニア職種との違い
「エンジニア」と名のつく仕事はたくさんありますが、データエンジニアはかなり毛色が違います。
| 職種 | 主な仕事 | 主なアウトプット |
|---|---|---|
| データエンジニア | データ基盤の構築・運用 | データパイプライン、DWH |
| システムエンジニア(SE) | 業務システムの設計・開発 | 設計書、業務アプリ |
| インフラエンジニア | サーバー・ネットワーク構築 | インフラ環境 |
| データサイエンティスト | データ分析・機械学習 | 分析レポート、MLモデル |
| データアナリスト | データ集計・可視化 | ダッシュボード、レポート |
SEやインフラエンジニアは「システムを動かす」のが仕事ですが、データエンジニアは「データを流す」のが仕事です。データサイエンティストが分析する「素材」を用意するのがデータエンジニア。料理で例えるなら、データエンジニアは食材の仕入れと下ごしらえ担当です。
1日の業務割合
私の場合、1日の業務割合はだいたいこんな感じです。
| 業務 | 割合 | 補足 |
|---|---|---|
| 開発(SQL/Python/dbt) | 40% | メインの時間 |
| ミーティング・相談対応 | 20% | アナリスト・マーケターとの連携 |
| パイプライン監視・障害対応 | 15% | 朝一の稼働確認含む |
| ガバナンス・権限管理 | 10% | 地味だけど重要 |
| 技術調査・学習 | 15% | 新ツール検証など |
SIer時代はドキュメント作成が業務の50%近くを占めていましたが、事業会社では開発に集中できる時間が圧倒的に多いです。
1日のタイムライン(実例)
9:00 – 出社・パイプラインの稼働確認
朝一番の仕事は、前夜に走ったETLパイプラインの稼働確認です。
Fivetranの同期ステータス、HVRのレプリケーション状況をダッシュボードでチェックします。エラーが出ていたら原因を調査して対応。ほとんどの日は問題なく完了していますが、ソースシステム側の変更(カラム追加やデータ型変更)でエラーになることが月に数回あります。
SIerでいう「朝一のジョブ確認」と本質は同じです。ただし、SIerでは障害連絡票を書いて上長に報告して承認をもらって…という手順が必要でしたが、事業会社では「直して、Slackで報告して、完了」です。
9:30 – チームの朝会(15分)
データチームの朝会に参加します。各メンバーが「昨日やったこと」「今日やること」「困っていること」を共有するスクラム形式です。
SIerの進捗会議とは雰囲気が全然違います。資料準備は不要で、口頭で1〜2分話すだけ。形式的な報告ではなく、チーム間の連携を取るための場です。
10:00 – データモデリング・開発作業
ここが1日のメインの時間です。
新しいデータソースの取り込み設計をしたり、既存のデータモデルを改修したり、SQLやPythonでの開発作業を行います。
たとえば「マーケティング部門が新しい広告プラットフォームのデータを分析したい」という依頼が来たら、そのデータソースのAPI仕様を調べて、Fivetranでの取り込み設定を行い、Snowflake上でのテーブル設計をして、変換ロジックを書きます。
SIerとの大きな違いは、設計から実装までを一人で一貫してやれること。設計書を書いてレビューに出して承認を待って…という工程がなく、「設計して、作って、テストして、デプロイ」を自分のペースで進められます。
12:00 – 昼休み
リモートワークの日は自宅で昼食。出社日は社食。SIerの客先常駐時代と比べると、昼休みの自由度が全然違います。
13:00 – ステークホルダーとの打ち合わせ
午後はアナリストやマーケターとの打ち合わせが入ることが多いです。
「この分析をしたいんだけど、データはある?」「この指標の定義を変えたい」「新しいダッシュボードを作りたい」といった相談を受けて、データエンジニアとしてどう対応するかを議論します。
SIerでの「要件定義」に近いですが、社内の人が相手なのでコミュニケーションが圧倒的に楽です。顧客折衝の緊張感はなく、「一緒にいいものを作ろう」という協力関係で進みます。
14:00 – 権限管理・ガバナンス業務
Snowflakeの権限管理やデータガバナンスの業務を行います。
新しいユーザーのアクセス権設定、ロールの見直し、データアクセスポリシーの更新など。地味ですが、470テーブル・18スキーマの環境では重要な仕事です。
SIerでの「セキュリティ設計」「権限管理」の経験がそのまま活きる領域です。
15:00 – コードレビュー・ドキュメント整備
チームメンバーのプルリクエストをレビューしたり、技術ドキュメントを更新したりします。
dbtのモデル変更やSnowflakeの設定変更はGitHub経由でのプルリクエストで管理しているので、レビューは重要なプロセスです。
SIerでの設計書レビューと似ていますが、コードベースなので曖昧さが少なく、レビューの効率が高いです。
16:00 – 技術調査・学習
新しいツールの検証や技術調査の時間を取れるのも、事業会社の魅力です。
「Databricksへの移行を検討しよう」「新しいデータ品質ツールを試してみよう」といった技術選定に関われます。SIerでは「お客様が使っている技術」に縛られますが、事業会社では自分たちで技術スタックを選べます。
17:30 – 翌日の準備・退勤
明日のタスクを整理して退勤。残業は 月10〜20時間程度 で、SIer時代の半分以下になりました。
日常的に使うツール・技術スタック
データエンジニアが毎日触るツールをカテゴリ別にまとめます。
| カテゴリ | ツール | 用途 |
|---|---|---|
| DWH | Snowflake | データの保管・分析基盤 |
| データ連携 | Fivetran, HVR | 外部データソースの自動取り込み |
| データ変換 | dbt | SQLベースのデータモデリング |
| オーケストレーション | Airflow | パイプラインの実行管理 |
| バージョン管理 | GitHub | コードレビュー、CI/CD |
| コミュニケーション | Slack | チーム連携、障害通知 |
| BI | Looker, Tableau | ダッシュボード(アナリストが主に利用) |
SIer出身者にとって朗報なのは、SQLの知識がそのまま活きること。Snowflakeの操作もdbtのモデル定義も、ベースはSQLです。RDBの設計経験がある人は、データモデリングにもスムーズに入れます。
詳細な学習順序は データエンジニアのロードマップ で解説しています。
SIerとの1日の違い(4つの観点)
意思決定のスピード。 SIerでは設計変更に承認フローが必要でしたが、事業会社ではチーム内で合意すればすぐ実行できます。
ドキュメントの量。 SIerでは作業量の半分がドキュメント作成でしたが、事業会社ではコードがドキュメントを兼ねます。dbt docsやREADMEで十分で、Excel方眼紙の設計書はありません。
技術の幅。 SIerでは1つのプロジェクトで1つの技術スタックに閉じていましたが、事業会社ではSnowflake、Fivetran、HVR、Python、SQLと複数のツールを横断的に扱います。
ユーザーとの距離。 SIerでは「作って納品して終わり」でしたが、事業会社では自分が作ったものを毎日使ってもらえます。「このテーブル便利」と言われた瞬間のやりがいは、SIerでは味わえなかったものです。
こんな人にデータエンジニアは向いている
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| SQLが好き/苦にならない | コーディングを避けたい |
| 設計・モデリングが好き | 数字やデータに興味がない |
| 技術選定に関わりたい | 既存スタックを変えたくない |
| ユーザーの近くで働きたい | 1人で黙々と作業したい |
| 新ツールのキャッチアップが楽しめる | 学習継続が苦手 |
逆に、大規模プロジェクトの管理や顧客折衝がしたい人は、SIerの方が向いているかもしれません。
キャリアパスと年収レンジ
データエンジニアからのキャリアの伸ばし方は主に3パターンあります。
| キャリアパス | 年収レンジ | 特徴 |
|---|---|---|
| テックリード/シニアDE | 800万〜1,200万円 | 技術深掘り、アーキテクチャ設計 |
| データプラットフォームマネージャー | 1,000万〜1,500万円 | チームマネジメント+戦略策定 |
| アナリティクスエンジニア | 700万〜1,000万円 | dbt中心、ビジネス側との橋渡し |
| フリーランス | 月単価70万〜120万円 | 専門性で勝負、案件選択の自由 |
詳細は データエンジニアの年収相場 を参照してください。
よくある質問(FAQ)
Q. データエンジニアとシステムエンジニア(SE)はどう違う?
A. SEは業務システム(販売管理、人事系など)を作る仕事、データエンジニアはデータを集めて使える状態にする仕事。アウトプットも、SEは業務アプリ、データエンジニアはデータパイプライン/DWHと根本的に異なります。
Q. データエンジニアの1日って忙しい?
A. SIerほどは忙しくないです。残業は月10〜20時間程度。ただし障害発生時は集中対応が必要。「定常運用 + プロジェクト開発」のバランスで、メリハリのある働き方になります。
Q. リモートワークはできる?
A. 基本的に可能です。Snowflake/dbt/GitHubなどクラウドベースのツールが多いため、出社必須の業務はほぼありません。私も週3〜4日はリモート勤務です。
Q. 残業はどのくらい?
A. 私の場合は 月10〜20時間 です。SIer時代の半分以下。事業会社や外資は労務管理が厳しく、過度な残業は起きにくい環境が多いです。
Q. データエンジニアに向いていない人は?
A. SQLや設計が苦手な人、新しいツールのキャッチアップが楽しめない人、データに興味が持てない人。逆に「データを綺麗に整理するのが快感」というタイプは天職です。
Q. 30代未経験でもデータエンジニアになれる?
A. なれます。特にSIerでDB/SQL経験がある30代は強い候補。詳しくは SIerを辞めたい30代エンジニアが知っておくべき3つの現実 で解説。
まとめ
データエンジニアの仕事は、社内のデータを「使える状態」にすること。具体的にはデータ収集・変換・基盤構築・品質管理・権限管理の5領域を担当します。
ポイントを再掲します。
- 業務時間の40%は開発:SIerと比べて圧倒的に開発に集中できる
- コードがドキュメント:Excel方眼紙の設計書から解放される
- ユーザーが近い:自分が作ったデータを毎日使ってもらえる達成感
- 残業は月10〜20時間:ライフスタイルが大きく変わる
SIer出身者にとって、SQLとRDBの経験はそのまま武器になります。1日の業務イメージが掴めたら、次のステップは具体的な転職活動です。
「自分の経験で、データエンジニアになれるか確かめてみる」
求人票や記事だけではリアルな業務イメージは掴めません。スカウト型サービスなら、企業からのオファー内容で「自分のスキルがどう評価されるか」が直接見えます。
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